れおこがたり 第1回 ~「One Step From Eden」の話~
ここ2回に渡って積みゲーを紹介してきた。
今回は少し趣向を変えて既プレイ、クリア済みの中から1本を選んで紹介する。
では今回の講義を始めよう。
(講義と銘打つくらいなのでやや専門的な内容も含んでいる。主観を控えめに書いているので読んでいて退屈さを感じるかも知れない。そういう方は***で区切ったあたりを読み飛ばしていただきたい)
One Step From Eden
「我は我のための理を作る」
「One Step From Eden」はデッキ構築型ローグライト*1アクション…なのだが、とりあえず以下の動画を少しでいいので見ていただきたい。
…ロックマンエグゼだこれ!!
ロックマンエグゼは3×3マスのグリッド(マス目)を移動しながら戦うアクションRPG。ランダムに読み込まれるバトルチップというものを駆使するカードゲーム的な要素もある。
改めて紹介しよう。「One Step From Eden」はデッキ構築型ローグライトアクションゲームだ。
プレイヤーは何人かいるプレイアブルキャラクターの中から使用するキャラを選び、4×4マスのグリッドを移動して攻撃を回避しつつ戦う。
敵を倒してスペルやアーティファクトと呼ばれるアイテムを集め自身を強化し、マップ最奥にいるボスを倒すことで次のエリアに進む。
最終的に、荒廃した世界の最後の希望 "Eden" を目指すというのがゲームの目的になる。
(以下、やや専門的な内容を含む)
***
デッキ構築型ローグライトというのはローグライトの世界ではままあるジャンルだ。カードゲームとローグライトは、それぞれ "強いランダム性" という共通項を持ち、少なくともシステムに落とし込みやすいという点で相性が良いと言えるからだ。
さて、このゲームには「フォーカス」という革新的なシステムが存在する。
本作には多くのスペル*2が存在するが、既存のローグライトでは「初手に引いたカードを軸にビルド*3を組もうとしたら必要なカードがぜんぜん集まらなくて頓挫」みたいなことが頻繁に起こっていた。これはローグライトというジャンルそのものの問題点でもある。
それを完全に解決とはいかなくとも寛解させるシステム、それが「フォーカス」なのだ。
名称と話の流れからおおまかな想像がついている方もいるかもしれないが、具体的に説明していこう。
本作のスペルには「フォーカス」つまりは所属陣営のようなものがひとつひとつ割り振られており、敵を倒したときに手に入るカードの陣営を指定することで、ある程度理想的なビルドに近づけやすくなっている。
***
長々とシステムの紹介をしてしまったが、無論、そういった快適性がこのゲームの肝の部分であることに疑いの余地はないだろう。
だが、それ以上に、このゲームは "楽しい" 。
グリッドに襲いかかる敵の攻撃を蝶の舞うが如く回避できたときの快感は筆舌に尽くし難いものだ。
ローグライトが持ちうるランダム性に基づいたリプレイアビリティ、それを補強する「フォーカス」システム、ゲームの土台を支える快適なアクション。
それが「One Step From Eden」の真髄と言えるだろう。
加えて良質なサウンドがゲームプレイを彩るのも最高だ。
open.spotify.com
☆☆☆
余談だがこのゲームにはヴィオレットというボスがいる。
バイオリンを武器にプレイヤーとのダンスを望む彼女との戦闘に存在する特徴的なギミック……それは、BGMに合わせて攻撃を仕掛けてくるというもの。
まるで舞踏会で踊るかのような戦闘の中で、BGMの盛り上がりは最高潮に達する。
その刹那、私は垣間見た。
本作を創った人が、このゲームを通してやりたかったことを体現する様を。
ゲームに対する溢れんばかりの熱意を。
ヴィオレットのテーマ曲「ネバーエンディングソング」。エモい
☆☆☆
昨年(2020年)の3月に発売されたこのゲームも、早いものでもうリリースから1年となる。
少し前のアップデートで新たなスペルが大量に追加されたり、イージーモードが追加されてアクションが苦手な方にも勧めやすくなったことで、さらなる飛躍を見せる「One Step From Eden」。
私の一押しなので、少しでも興味があればぜひ手にとっていただければ幸いだ。
★★★
今回は昨年出た中でいちばん好きだったゲームを紹介したが、いかがだっただろうか。
熱量に任せて書きなぐってしまった感があり、文章の構成が拙くなってしまった可能性は正直否めないが、好きに書くのはとても楽しかった。
それでは今回はこのあたりで。